9、夜明け

 

悟りの境地に達するのは難しいですからね。でも幸せな人生を歩みたいとか、仕事で成功したい

とか、そういう事に応用するならそれほど大変な事ではありません。

なら俺は金持ちなのかというと、それほどではありません。

まあ金持ちになる為の精神力が有るなら俺はその精神力を悟りの境地に達する為に使いたい。

最初に書いたように俺は人生の全てを悟りの境地に達する為に捧げたわけです。

どんな事であっても楽をして得られる事なんてありません。

より大きなものを得たければそれだけ苦労があります。

何をするにも「どれだけ本気か」という事です。

生命の法則、成功法則というけれど、その法則を我がものにするのが難しいんだよ。

理屈は簡単なんだけど実践が難しいんだよ。

 

「信じただけで上手く行けば苦労はねえよ」って、先ずは信じる事から始まるんだよ。

信じもせずに物事が上手く行く事なんてないんだよ。バカみたいになって信じるんだよ。

俺は20歳の時に決めたゴールに58歳で到達した。

叶うまでバカみたいになって念じ続けるんだよ。叶うまでバカみたいになって突き進むんだよ。

俺は自分のゴールしか見ていなかった。ゴールに辿り着く為なら何でもする。

起きている時の思考の全てが祈りなら俺はそうする。俺は無理だと思った事など一度もない。

それでも38年かかった。それでも超高速でゴールに辿り着いたと思っている。

人間にとって最も大事なものは『忍耐』である。忍耐が無いから道を踏み外すんだよ。

忍耐が無いと「信じる」ことも「信じ続ける」ことも出来ない。

自分の考えなど捨てて師匠のいう事を素直に聞くんだよ。だから師匠選びは大事なんだよ。

とは言え俺の場合は師匠と呼べる人はいないんだけど、『釈迦』が好きです。

だからといって釈迦を研究したわけでもない。そんな事をしなくても『魂』は全てを知って

いますから、常に魂に尋ねて答えを得れば良い。

 

44歳の誕生日(10月27日)の次の日からウツ状態(鬱病ではありません)になった。

何だかやる気が無い。人に会いたくない。仕事が終わればさっさと家に戻る。

誰かに誘われても全て断る。可能な限り誰にも会いたくない。

別に落ち込んでるわけではない。例えて言えば超内気な人間になってしまった

ような感じかな。そして次の年の2月24日の朝、目を覚ますと劇的な変化があった。

人間がこんな感覚になれるのかと思うような感覚です。

あくまでも例えですが、「3mくらい上(空中浮遊ではありません)から人々を見下ろし

ているような感じ」、それくらい自信満々というか、未来など見えていないのにまるで見えて

いるかのようだ。今になって思えば入ったんだと思うけどその時の俺は気付かなかった。

なら24年でゴールに到達したのかというと、実はまだです。更にここから14年かかった。

ただ違うのはこの14年は苦しみとは無縁の実に楽しい14年だった。

 

例えて言えば44年の刑務所生活を終えやっと出所したみたいな感じかな。

暗闇を抜け、夜明けだね。明るくなった状態で俺は自分が設定したゴールに向かって高速で

走り出した。「全く迷いの無い思考とでも言いましょうか。自我が停止し思考が勝手に

働きだすとでも言いましょうか。完璧な『勘』とでも言いましょうか。

例えて言えば難しい迷路を何も考えず右に左にと進んで行き、一度も間違える事無く

ゴールまで行ってしまう感じ。全てが当然の如く完璧に進む状態であり、

そこにはもはや感動すら無い。」それでも俺は超能力も霊能力も無い普通の人間です。

この感覚は超能力や霊能力とは全く違うものです。

この感覚を使って俺は自分が設定したゴールに向かって高速で走り出したわけです。

それでも14年かかった。

俺の挑戦というのは、例えば99%変えても1%残っていれば100%残っているのと

同じなのです。だから100%の達成になるまで続ける。

 

悟りの境地を目指す気持ちで取り組めば幸福や富を得る事などは簡単だと思う。

でも忍耐や素直な気持ちは必要ですよ。先ずは小さな成功体験から徐々に魂の働きを

理解し受け入れるようにするのです。魂では宗教的に感じるなら潜在意識でも良いです。

ただ単に成功するだけなら潜在意識の性質を理解し実践すれば良い。

更に神の領域に入る為には潜在意識の性質を在りのままに受け入れ、

完璧に『疑わない』という思考が必要になります。

 

俺はね生命の法則というシステムを分かっていて幸福になりたいんだよ。

訳も分からず100億円もらってもうれしくないし、迷いの中で幸福になってもうれしくない。

訳も分からず泣いたり笑ったり怒ったりしたくないんだよ。

この世の真実というものを知ったうえで生きて行きたいんだよ。

そして自分というものを可能な限り高めたい。

神の領域に入った者は髪や髭を伸ばし仙人の様な風貌だと思ったら大間違いです。

普通の人と何ら変わらない普通の人間です。

 

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